jikowsつれづれ# 95 「だし巻き玉子焼き (7)」  中津さんそん

だし巻き様、私はあなたとこんな仲になって人生の終盤になるとは、かなり妙ちくりんな心身なのです。 出会いのスタートからして、俺にとっては普通平穏な環境下じゃなかったしな。 しかし あの感動も何らの玉もなかった出会いが自分の終末まで続くとワ!  これも幸運かも知れませんね・・・。   祝い笑って酒を酌む相手も居ない今となっては侘いaしいもんですわ。金 婚 矢のごとし とは笑っちゃうぜ

 私は 今「だし巻き屋」として老いをやっております。 その経緯を 俺は日や時間に関係なく 心中に 繰り返します。 未だに今のステイタスに落ち着いていないのです。  真に年ばかり取って 情けない人間ですことよ。 俺が 落ち込むのはこんな時だ。 

 「だし巻き玉子焼き」を知ったのは50数年前になる。 当然のことながら 俺の人生にもイロイロあった。 包丁生活をやめてから25年にはなる。現役時代の(私のだし巻き)は ごく普通の一般的なスタイルであった。 恰好だけは 平鍋で箸を使いクルクル焼くものです。」

これは 関東でも・関西でも 温泉地でも・都会でも 同じようなものでした。

俺ごときは これでも満足な商品が作れず 職場では随分と「嫌な想い」をさせられたものです。 当時は 私を含めた周囲は だし巻きとは あの独特の四角いフライパンで板付きの蒲鉾形に焼いたものを「だし巻き」と云うんだと思っていたほどです。 お粗末な限りの笑い話です。

 結局 私は(性)が合わずに職場を離れましたが 「だし巻き玉子焼き」の方は「こんなもの人間が出来るか?」てな調子だったのです。

ところが アレから30ねん、偶然に出来てしまった

それからは 酒の肴はこれに限るとすっかりお友達になってしまったのでした。

 だしの量が多くなっていくのは自然の勢いでした。 私には全然丸っきり苦痛ワ起きない。不思議な現象でした。

  そこに キッコーマン氏による「だしの黄金比率は2対1である」なる書き込みを見て なんか無性嬉しくなってしまったのです。

 

    俺の生まれと育ちなんだろうなあ。 たかが「卵焼き」、されど「卵焼き」なんだよ。   

嘘もあれば 真実ものも多い。 それにスキルだって思いのほかに厄介なんだぜ。 やってる奴はプライドがあんのか あんまり本音は吐かんけど・・・。

   「だし巻き」、もう一度遣りたい        中津さんそん