孫への遺書#53 中津さんそん 六番「母を尋ねて三千里」(5)

   丁度このころは マンションにお巡りさんが ”確かめ”に

来ていたころでした。

幼稚園ぐらいの男の子が一人でゲームをやっております。

「一人で留守番ですか?お利口さんですね。お母さん どうしているかな?」

お姉さんたちを探しに行ったよ」

お母さんは 全然消えていない。

警察の人は 職業柄直感しました。おやおや これは,とんだお姉さんの誤解のようです。そうそう 母親の家出なんかあったんでは コッチモたまらない と苦笑しながら安堵するのでした。

 直ぐ緊急手配の電話をしました。

 

  母親 お姉さん 幼稚園のお兄さん そして一切の末っ子四人は 全員無事に出会うことが出来ました。

これで めでたしめでたし 一件落着の筈でした。

 お母さんが「ありがとうございました ありがとうございました」と米搗きバッタみたいに頭を下げて 警察官も「よかった よかった」と帰りました。

途端に お母さんの爆弾が破裂したのです。

三人の子供は一瞬ポカーンとなるし 母親自身 何故自分が怒ってしまったのか解らない様子です。

お姉さんはお姉さんで 何故そんなに怒るのか理解できなくて

<私のことは さっぱり解ってくれないんだからーー>

まさか お母さんが家出したんじゃないか なんて言えないし 本当に泣きたくなってしまいます。

涙の顔を弟たちに見られないためにトイレに走ります。-

トイレは落ち着きます。やはり 自分が慌て過ぎたのかな? もう少し待つべきだったとも反省するのでした。

 母は母で 怒ってしまったことがチョット恥ずかしい。子供たちの心配が理解できるからです。そう言えば 自分にも同じようなトラブルを起こしたような記憶があるのでした。

 それから 母は夕ご飯の支度に入りましたが 子供達には背中を向けたまま

「お母さんは どんなことが起こっても あなたがたを捨てたりはしません。世界がつぶれても どんなに遅くなっても 必ず帰ってきます。心配しないで待っていなさい」と 絶対命令をしたのでした。

 今日の晩御飯は 予定を変更して大好きなハヤシ・ライスです。何時もより お肉がいっぱい入っておりました。

      おわり

           中津さんそん  

 

 

 

 

孫への遺書#52 中津さんそん 六番「母を尋ねて三千里」(4)

 話変わってこちらはお母さんです。家に帰ってみると 留守番の二人がおりません。

「あらあら どうしたのかしら?」

頭をかしげましたが 特別に心配することもありません。 どうせ 付近のスーパーにでも行っているのでしょう。

 でも玄関にかぎが掛かっていないことが 機にならないこともありません。用心深いあの子にしては不用心な。でも 家の中が荒らされているわけでもないし、まあ いいかーー。

なによりも 母は長女を信頼しきっております。 鼻歌交じりで夕食の準備に取り掛かりました。

 ですけど それにしても時間が遅い。もう三十分も経っているじゃないの!

もう少し待った。帰ってこない。

だんだん もしや? と不安になってきた。

コンビニの帰りに 自動車に。

 この4・5日の娘の態度が気にかかるのです。 ほんの小さなことなのだが 妙に この母親にベタベタしたがる。そんな年齢でもないだろうにーー

 でも <ピーン>と来るものがあるのです。 母親の第六感です。

「私を迎えに行ったのかもしれない」  友達の母親の家出騒ぎを耳にしていたからです。

 直ぐ水泳教室に電話をしました。 先ほどそれらしい少女がベビーカーを押してきました と言う。

やはりとも思うし オッチョコチョイとも思うのでした・

 母は 即鼓動に移ります。

「チョット二人を探してくるから お利口に留守番をお願いね」 と突然言われても 僕留守番したこと一度もないんだけれどもーーー

と言おうとしたら お母さんの余りにも真剣な課をがあったので

「オーケー」とあっさり返事をして お母さんを(大丈夫かしらーー)と心配させたほどでした

幼稚園でも 大事な時には頑張る男の子なのでした。 

 お母さんは 今度は通学路を走ったのですが会いません。

プールの周辺を見て回りましたが見当たりません・

 <すぐ見つかるさ・・・>

と軽く見ていたのですが だんだん焦ってきます。

どうしても 悪い方 悪い方に考えてしまうのでした。

     continue

           中澤さんそん

 

 

 

孫への遺書#51 中津さんそん 六番「母を尋ねて三千里」(3)

  お姉さんはいつもの通学路を急いだのに お母さんは別の道なのでした。

母は プールでのママ友とのおしゃべりが長くなって これはいけないと 道は悪いけど近道を選んだのでした。会うはずはありません。

 そのころ プールではお姉さんは半ベソです。 完全なパニックです。 

「お母さん 何処に行ってしまったの…?」

母が三人の子を置いて 家出なんかするはずないじゃないの・・・こんなことは 自分が一番よく知っていることなのに 今日の彼女の精神状態は チョット外れているようです。

  じつは この一週間 彼女の頭を離れない出来事があるのです。

友達のお母さんが家出をしてしまったことです。

パートに行っているスーパーのお兄さんと逃げてしまったのです。

友達は二歳年上の兄と朝早くから夜遅くまでお店の前で母を待ちました。母は帰っては来ませんでした。それでも待っています。父が迎えに来ても戻りません。

 学校にも来ません。給食は 私が届けるようにしていますが ほとんど食べていないみたいです。

  このことがあって お姉さんはピリピリしているのです。

だけど違うところは お姉さんはここでグットきをひきしめて、

「私がしっかりしなければ・・・」

こんな小さな弟がいるのです、泣いてなんかおれません。

困ったときには交番に行く。これぐらいは知っている。それ 急げ

突然ガタビシ走り出したので 末っ子はびっくり 「大丈夫?」と 後ろ向きに姉を見上げましたけど あまりの怖い顔に黙っています。

 

  「すみません!  大変 大変  お母さんが居なくなりましたーーー」

いきなりベビーカーが飛びこんできて半ベソの女の子が助けを求めてきたのです。

警察官は びっくり

一見 迷子になるようなこどもには見えないし <お母さんが居なくなった?>

ハハーン また 母親の家出ですか 職業がてら お巡りさんは慣れております。

「いやな世の中になったものだ。最近 この手の事件がやたらに多いから・・・」

 お巡りさんは とに角、中に入れて話を聞きました。そして 「チョット待っててね」と 何処かに電話をしていました。

        continue

                                                             中津さんそん

 

 

  

 

 

孫への遺書#50 中津さんそん  六番「母を尋ねて三千里」(2)

   留守番の時 知らない人の「ピン・ポーン」が一番恐ろしい 親切そうだからと 家に入れてしまうと 後が恐ろしい。人間がオオカミに変身したりして さてどうしよう

どうやって末っ子を守ったら良いのか?

食らいついてやるか 弟を抱っこして逃げるか やはり 廊下に出て「助けてくれ!」が 一番いいか。

私はどうなってもよいけど 弟だけは絶対守らんと、お母さんを泣かせることになるから 責任は重い。

 お母さんには 早く帰ってきてほしい 末っ子を返さないと私は解放されないんのだ。

 プールから帰る時間はだいたい決まっている。なのに今日は遅い。どうしたんだろう? 時間はもうとっくに過ぎている。嫌な予感がする。交通事故 弟が溺れた それともケガ? だんだん心配が大きくなる。こんなに遅れたことは 今まで一度もない。

  末っ子は 私の気も知らないで 「キャーキャー」ご機嫌である。こっちはそんな余裕はない。泣きたいところなのに・・・

 実は本当のことを言うと お姉さんがパニックになるほど時間は経っていないのでした。ただ 待つ身はつらいよ

その時の時間は四時三十分でしたが 彼女は 長針と短針を読み違えていました。

「もう六時過ぎてるじゃないの…」 慌てました。普通なら考えられないボンミスです。

 姉はただちに勇気ある行動に出ました

末っ子をベビーカー二乗せると 即家を出ました。お母さんを捕まえることしか頭にはありません。

目を吊り上げとっても怖い顔です。末っ子は<こんなお姉さんは初めて・・> 言葉もありません。

マンションの玄関を出る時 顔見知りの叔母さんが「ああら、お姉さん どうかしたの?」と声をかけたのに全然知らん顔、 「変なの・・・」と首をかしげています。

 ひたすらプールにまっしぐら、だがプールでは 「もう とっくに帰りました」と冷たい返事です。お姉さんの心のうちなんか 誰も解ってはくれませんですよね

 一方 母と水泳教室の弟は家に帰ってみてビックリ 留守番の姉も末っ子もおりません。玄関には鍵もかかっておりません。

どうゆうこと? もしや誘拐? そんなこと あるわけないでしょ!

実は お姉さんたちのベビーカーは母たちとはちがった道を通っていたので 両者は入

れ違になっていたのでした。

      continue

                                             中津さんそん

  

孫への遺書#49 中津さんそん  六番「母を尋ねて三千里」(1)

三人キョウダイです。 一番上はを小六のお姉さんです。 二番目は 幼稚園の弟です 末っ子は まだオムツをしている一歳の男の子です。チョット目を離すと居なくなってしまう自由人です。この子を一日中面倒見てて お母さんはよく倒れないものだと感心します。

おかあさんが居ない時には誰かが子守をしなければならない。これが大問題なのです。

 お姉さんは 学校から帰るとランドセルを放り投げ即遊びに行こうとします

お母さんに 呼び止められます

「お姉さん お留守番お願いします」

エ!あー そうか。 今日は弟の水泳教室であった。この日は 母は弟についていく。プール・サイドで終わるまで待っているのだ。今までは 末っ子も連れて行ったのに最近は一緒をしない。何故だかは知らない。そして自分はレッスンが終わるまで一人で本を読んでいます。

弟は あまり練習を見てくれないと不満気です。お姉さんは 留守番となると末っ子の面倒を見なければならないので ほかの用事が出来ません

ですけど 本を読んでいるこの時間は 普段の口うるさい母とは違うお母さんを見るのです。きっとお母さんにはとっても大事なことだと思うので 私は 末っ子も連れて行けばよいのに なんて言わずに留守番を頑張っています。

 

 電話が鳴りました。 自分で出るしかない。 

「ハイ 何々です」と名前を言ったら

「お母さん居りますか?」なんて猫なで声。

「いま トイレにいってます」と言ったら

あら そう 「ガチャン」

何ー今のは 女の声なのに   電話は暴力だ 私は嫌いです。

「ピン・ポーン」

誰か来た。留守番の時のチャイムはやたらと大きく響く。

どうしよう?  誰だろう?

「ハイーー] 女の子だと思ってか

「お母さん居りますか?」

男だ! 声の感じからしたら きっと化粧品のセールスに違いない。

「じゃあ お嬢さんに説明書を預けていきますから ここをチョット開けてください」

母の留守のことも どうやら何もかにも承知の上の 優しい声だ  危険

知らない人には 絶対ドアーを開けてはいけないと母に言われている。

「私には解りません、解りません」

外国人みたいに押し通したら なんかブチャクチャ文句言って帰っていった

ホッとした。

     continue

 

 

 

孫への遺書   中津さんそん

 先日 五番「大陸孤児」を なんとか抜きました。 今の小生は キーボード打ちで体調回復を図っております。 ただ 乱文?字・稚拙なのが 自分ながらやり切れなくなるのですが そこは それ 何とかなるでしょう。

        記

 次作   六番「母を尋ねて三千里」

 次次作  七番「施設の子」

            中津さんそん

 

 次々作  七番「施設の子」