jikowsつれづれ#97 「だし巻き玉子焼き【9】」中津さんそん

たかが玉子焼き。 されど「だし巻き玉子焼き

「頼むぜーーー」 あまり自慢になる話ではないが 俺は90に近くなりながら未だに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間が出来ていない。 酒場騒ぎでは 「大器晩成ヨ・・」なんて笑っているけど 心の中は泣くことも出来ない臆病な奴だヨ、ほんに俺様は。

 少年よ 大志をいだけ! なんて言葉があったっけ。 当然、俺もヤンチャな大志の少年でした。 あの年ごろって本当に「いいな・・・」。

夢を持って金が必要になったら、働けばいい。働くとは肉体労働だ。

 

昭和21年・22年・23年・24年の日本は 何処に行っても食い物もない戦争に負けた国であった。

大志とは先ず食うことからはじまる。

 少年の大志は先ず「食べる」ことであった。 よく働いたな・・・。 14歳の新聞少年の出現には男親はかなり複雑な顔をしていたようだ。 だが少年は知っていた。 食べる爲には労働をすることじゃ。 労働とは肉体労働じゃ。机にへばり付いていたり 下手糞な芸人じゃあるまいし ベラベラ喋り散らすのは労働じゃないだろう。

我が人足人生は ヨー頑張った。 剣スコ(ップ)一本 何処の地面でも掘りまくったわなあーーー。 立米幾らの賃金だったからな。ブルとか機械もの達の姿なんて見ない時代の育ちよ 俺たちワ・・・。

それが知らない時間の中で気が付いたら人足労働者に飯盛りを用意する立場に潜り込んでいたわ

そして 時が経って「だし巻き玉子焼き」に出会ったしだいです。

汗と(チキショウー――なぜや・・・)の怒りのなかで飯食ってきた仲や。

やっぱり そんじゅうそこらで 簡単には離れられん間柄か・・・。それもヨイ。

   Jikows             中津さんそん